肩の痛み
肩の痛みは、肩関節疾患のある患者さまの訴えとして最も多い症状です。
肩の痛みについては、「いつから、どのような誘因で、どこが痛くなったか」、「どのような動作で痛みがひどくなり、どのような動作で痛みが和らぐのか」、「安静時の痛み、寝ている間の痛み(夜間痛)はあるか」など、詳しく聞いた上で診察や検査を行います。
どんな症状があるの?
肩こり
首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの症状を感じ、頭痛や吐き気を伴う場合もあります。肩こりに関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉がその中心になります。
翼状肩甲骨(翼状肩甲)
腕を挙上する時に肩甲骨の内側縁が浮き上がって、天使の羽根や折り畳んだ鳥の羽根のように見えるので、このように呼ばれます。スポ-ツなどによる神経へのストレスや無理な姿勢により生じる(頬杖をつくなど)が原因となります。
五十肩(肩関節周囲炎)
中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。動かす時に痛みがありますが、あまり動かさないでいると肩の動きが悪くなってしまいます。髪を整えたり、服を着替えることが不自由になったり(運動痛)、夜中にズキズキと痛み、ときには眠れないほどになることもあります。
肩腱板断裂
40歳以上の主に男性、右肩に好発します。
発症年齢のピークは60代です。肩の運動障害・運動痛・夜間痛を訴えますが、夜間痛で睡眠がとれないことが受診する一番の理由です。運動痛はありますが、多くの患者さまは肩を上げることは可能です。
石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)
夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まることが多いです。痛みで睡眠が妨げられ、関節を動かすことができなくなります。発症後1~4週、強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1~6ヵ月続く亜急性型、運動時痛などが6ヵ月以上続く慢性型があります。
胸郭出口症候群
つり革につかまる時や、物干しの時のように腕を挙げる動作で上肢のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みが生じます。また、前腕尺側と手の小指側に沿ってうずくようなときには、刺すような痛みと、しびれ感、ビリビリ感などの感覚障害に加え、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状があります。
反復性肩関節脱臼
脱臼する方向によりますが、前下方に脱臼する反復性肩関節脱臼では、外転・外旋する動作に不安感を持ち、肩関節前方の不安定感があり、同部に圧痛があることが多いです。脱臼すると、上腕はばね様固定となり、前下方脱臼では前下方に上腕骨骨頭を触れます。簡単に自分の力で整復できることもあります。